前回まではこちら。
いよいよ丸一日八丈島にいられるのも最終日となった日の朝。
キャンプ場の炊事場で歯磨きをしていた。
波の音が聞こえ、心地よい風も吹く。
そんな中でする歯ブラシは何とも気持ち良い。
「お兄ちゃん何釣った?」
いきなり背後から声をかけられた。
「え?」
歯磨き粉を口の周りに付けたまま、間抜けに口を開ける。
「何釣ったん?」
「いやいや、釣りしてないですよ僕」
「あ!?釣りしないでここになーにしに来たんだい」
こっちこそなーんで見知らぬおじさんに朝イチで説教されなきゃならんのや。
と思いつつうがいをして会話を始める。
「いやいや、学生最後にテント泊まりしながらのんびりしに来たんですよー」
なんて答えると、おおうちの娘と歳が近いなと色々話がすすむ。
そんなこんなで色々話していて、出身を聞かれるとびっくり仰天。
私の実家の最寄駅と同じ場所に住んでいたことがあるというではないか…!
お互い「ファーッ!!!」という感じで地元トーク開始。
これで一気に距離が縮まり、おじさんのおススメスポットに連れていってくれることになった。
さらにさらに、途中おじさんの家に寄って「明日葉(あしたば)という八丈名物をくれるらしい。
ということで、レンタカーで十数分前にあった見知らぬ明日葉おじさんとドライブすることに。
改めて字に起こすと狂気じみているが、ここは八丈だしまあ大丈夫か。なんて呑気な考えをしていた。
そして、明日葉おじさんが最初に案内してくれたのがここ。
夕日ヶ丘。
海沿いの道に突如現れる展望台。
観光客も来る人が少なく、とても穴場な展望台らしい。たしかに静かで美しい。
正面には八丈小島が見える。
無人で岩肌が目立つミステリアスな感じ漂う。
明日葉おじさん曰く、昔は八丈小島にも人が住んでいたらしい。
水源に乏しく、病気が流行って人が疎開してしまったらしいとかなんとか。
しはまらく家畜として飼われていたヤギはそのままになっていたため、草が食い尽くされて今のような岩肌が目立つ島になってしまったらしい。
ほんとかなーなんて思い後で調べてみると、住民が移住したのには、たしかに水に関連した病気も影響していたみたいだ。
卒論が地方自治に関連したものだった私としては、地方自治的にも興味深い土地であったことに驚いた。
まあ、住民が移住してしまった主な要因は、過疎化による人口減少だろう。過疎化してしまった要因の一つに、水源やその他のライフラインの脆弱性があったということなのだろう。
さて、途中に明日葉おじさんの家に寄り、明日葉を頂く。
料理人である明日葉おじさん曰く、天ぷらやさっと湯がいてマヨネーズなどと和えるのも美味らしい。
後日家で天ぷらを食べたが、癖もなくとても美味しかったぞ!おじさんありがとう!
さて、キャンプ場におじさんの自転車を置いたままなので、キャンプ場へ戻りつつさらに巡る。
お土産を買うのにおすすめされたこちら。
ここは本当におすすめ!
バラマキ土産が空港よりも安く、さらに種類も豊富!
しかもオリジナルの石鹸やクリームなどもたくさんある。服やトートバッグなどのオリジナルグッズもたくさんあるので、お土産はここが本当におすすめだ。
さて、最後に教えてもらったのがここ。
南原千畳敷は、八丈富士から流れ出た溶岩が冷え固まってできた海岸だ。
地面が真っ黒。
砂地は一切なく、岩でゴツゴツしている。
再び八丈小島が奥に見える。
海をのぞいてみる。
うぉー!青い!
本土の海とは全く違う…。
明日葉おじさん曰く、この色はまだ冬の海らしい。
「今度来た時には、知り合いの漁師とかに声かけて潜らせてやるよ。潜るのも泳ぐのも得意なんだよ?おじぃは。若い頃は八丈小島まで泳いだもんだ。」
あの距離を…?
島人恐ろしや。泳げるけど近場で許して、と念押ししておいた。
そんなこんなで島の半分を一周してキャンプ場に戻ってきた。
明日葉おじさんとはここでお別れ。
よーく喋るおじさんだったが、いざ別れると少し寂しかった。
またねーおじぃ。
さて、余った食料を早めに食べて星を撮りにいこう。
場所は、明日葉おじさんに教えてもらった南原千畳敷。
周囲は本当に真っ暗。
ヘッドライトがあっても手元が見づらい。
しかし…この暗さに見合う素晴らしい満点の星空が広がっていた…。
何も言葉は要らないかな。
シャッター切り終えてモニターにこんなの映ったら、真っ暗闇の恐怖なんてどこかにいってしまう。
と、そんなこんなであっという間の八丈旅であった。
今回の移動軌跡はこんな感じ。
地図下の図表から、いかに八丈島が起伏に富んだ島かお分り頂けるだろう。
山も海も美しい八丈島。
食べ物もうまけりゃ人もあたたかい。
そんな魅力が少しでも伝われば幸いだ。
皆様も機会があれば、ぜひ八丈へ。
これにて、全3回の八丈紀行は完結。お付き合い頂きありがとうございました。
では、本日はここまで。