ごみと青い岩

【経済学からコロナと政治を見つめる 】序章 経済学とは何か

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はじめに

新型コロナが猛威をふるっている今日この頃。

連日政府の対応が報道されている。

そうした状況の中では、個人的な趣味としてコロナ関係で政府内の意思決定構造がどのようになっているかを調べたい欲求が抑えられないようになってきた。

 

このシリーズは、政治への「お気持ち表明」が目的では全くない。どのような意思決定構造によってコロナ対応が決定されてきたのかを経済学をベースに考察することにある。

というのも学生時代、経済学の考え方を用いて政治の意思決定を考察する「公共選択」という学問を学んでいたためだ。

今後、不定期でコロナ(感染症)という緊急事態における意思決定構造がどのようになっているかを整理し、他国との比較なども行いながら、なるべく経済学の考え方に基づいて考察してみたい。

その上で、経済学の考え方とは何ぞやというのを序章として記しておきたい。

※学部卒の素人が書いておりますため、正確ではないところもあるかと…。

 ご勘弁を…。

 

経済学とは何か

 

経済学にはどのようなイメージがあるだろうか。

株で儲けるの?投資するの?等々、お金に関することを学んでいると思われがちだ。

 

しかし、実際には以下のような学問だ。

 

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要は、「みんな自分が得して生きたいのは同じだけど、社会をより良くするためにはその中でどうやってお金やらの資源が使われるのが良いか考えましょう」ということだ。

公共選択は、それをさらに政治寄りに視点をミクロにした感じ。

実際の研究内容をもう少し詳しく書くと、各主体の「得」「利益」とは何だろうか?本当にそれを求めて行動しているのだろうか?それで悪影響が出ていれば、どう良くするべきか?といったことがメインだ。

 

そして、一番のポイントはまさに

「全ての経済主体は自身の利益が最大となる合理的選択を行う」という考え方だ。

 

よって、今後コロナ関連の意思決定構造を観察していく中でも、上記の経済学の考え方を枠組みとして各組織の目的や行動を分析していきたい。

ていうか、今回言いたいことはそれだけ!以上!

 

後はおまけ。

 

とはいえ、割ときちんと説明スライドつくりました。

以降は、この全体像に沿って順を追って説明しよう。

 

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 要は、

「めっちゃ効率的な理想な姿あるけど、実際にはうまくいかんよな…」

「せや!政府介入させたろ!あいつら神やろ!」

政府「残念。所詮ワシらも人間なんや」

 

こんな世の中どうしたらいいでしょうかね…と考えてきたのが経済学ですよ。ということでございやす。

経済学の理想と現実から、少しずつ見ていこう。

 

経済学の理想~完全競争市場~

経済学には、完全競争市場という理想がある。

この理想像があることにより、経済学では「効率的」=良いという共通理解がある。

その点、社会学の世界は大変なイメージ。それぞれが描く「良い」はたくさんあるし、それを双方に否定できない。もちろん社会学にも統計を重視したり色々な分野があるから一概には言えないのだろうけど…。

でも、それゆえに研究の裾野がとても広くて、大学で社会学の講義を選ぶのとても楽しかった思い出がある。

 

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さて、経済学の話に戻ろう。

一番注目して頂きたいのが、成立条件のところ。

 

「無理やろ」と素直に思うだろう。間違いない。

 

特に一番下。我々が差別できない訳ないだろ!ライカペンタックスニコンペンタックスは同質なんか?トヨタとスバルの燃費は?あ?

 

故に理想なのです。しかし、理想像があるからこそ目指すべきゴールがクリアになり、ゴールに近づける方法も考えやすいもの。

 

現実に起きる非効率~市場の失敗~

では、条件が成立しない現実はというと…

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酷い有様。

ちなみに、外部性で代表的なものは公害や騒音など。

 

現実では、完全競争市場に必要な条件は揃わないため、

企業や家計は好き放題に「自分たちが最も得するように」行動してしまう。

どんどん理想から遠のく哀しい世界。

 

そこに、ヤツがやってくる。

 

理想と現実のギャップを埋める~政府の介入~

政府パイセンチッス!

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もうね、これで万事解決。

だって政府パイセンなら政治家も官僚も公益のために頑張ってくれるから。

ともうまくいかないのが現実。

 

全知全能の神はいない~政府の失敗~

実際には、政府にも失敗が起こる。

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これは、政治家と官僚も自身の利益を最大にしたいと考えているためだ。

利益は何かというと…

 

政治家の利益

民主主義の国家ならば政治家は選挙によって選ばれる。

逆に言えば、当選しなければ失職することとなるためだ。よって、政治家の利益は当選することとなる。

そのためには、有権者から支持を得なければならない。よって、公益よりも過大に自身の支持基盤への利益を優先した政策を取る等が考えられる。

 

ちなみに管理人の卒論は、ここにとても大きく関係しており、各自治体の政治家の属性(政党)等と予算の関係性をデータ分析した。結果、政党と予算は実際に関係していることが実証分析でも明らかとなった。(自民党と土木費等)

 

官僚の利益

官僚の利益は、予算規模の最大化である。

何故ならば、予算規模が大きくなればなるほど組織も影響力も大きくなり、出世もしやすい。

 

まとめ~各々の合理的な選択な結果~

まとめ。結局、完全競争市場という理想も、現実に起きる市場や政府の失敗も

それぞれの主体の合理的な選択の結果に過ぎない。

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だからこそ、この前提の下でより良い制度を考える必要がある。

そして、何か問題(失敗)が起きている時には、このように主体の目的や行動を整理して、結果を分析する必要があるだろうと思う。

 

何となく何がどうなっているのかよく分からないコロナ対応。

自分なりに関連組織を整理して、どんな意思決定構造に基づいて今までの対策がとられてきたのか観察してみたいと思う。あくまで、趣味として。

 

分野がばらばらの統一感ないブログですが、お暇なときにお付き合いくだされば幸いです。

 

では、本日はここまで。

 

続きはこちら

blue-rock53.hatenablog.com

 

<参考文献・参考URL>

・長峯純一(2005)『公共政策学と公共選択論,その共通点と相違点』

   公共選択の研究 45号p.93-97

・アリエ・L・ヒルマン(2006)『入門財政・公共政策 政府の責任と限界』井堀利宏 監訳

 勁草書房

八田達夫(2013)『ミクロ経済学 Expressway』東洋経済新報社

・飯島大邦(2011) 「公共選択のすすめー学際的教育の試み」

https://yab.yomiuri.co.jp/adv/chuo/education/20110217.html